『七歩の詩』


相 本 豆 萁 漉 煮
煎 是 在 在 豉 豆
何 同 釜 釜 以 持
太 根 中 下 爲 作
急 生 泣 燃 汁 羹




煮豆持作羹 豆を煮て持って羹と作し
漉豉以爲汁 豉を漉して以って汁と為す
萁在釜下燃 萁は釜の下に在りて燃え
豆在釜中泣 豆は釜の中に在りて泣く
本是同根生 本とは是れ同根より生じたるに
相煎何太急 相い煎ること何ぞ太だ急なる
豆を煮て豆乳を作り
醗酵させて汁にする
豆がらは釜の下で燃え
豆は釜の中で泣いていた
「もとは同じ根から生まれた同士
どうしてそれほどひどく煮詰めるの」

【『七歩の詩』】『七歩の詩』は、五言、七言、四句、六句など、様々なテキストがある。『三国志演義』にも登場するので有名な作品。ここでは『世説新語』版を引いた。『世説新語』によると、曹植がこの詩を読むに至る経緯は以下の通りである。「文帝、嘗(かつ)て東阿王をして七歩の中に詩を作らしめ、成さざれば大法を行わんとす。声に応じて便ち詩を為(つく)りて曰く……」 曹植は、たちどころにこの詩を作り、文帝を深く恥じ入らせたという。このエピソードを元に、曹植のような俊才を「七歩の才」と呼ぶようになった。この詩はその作風からみて、本人の作ったものではなく、別人の手による創作と考えられている。 



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