『太子の坐に侍る』


  機 翩 歌 齊 肴 清 涼 寒 時 白
  巧 翩 者 人 饌 醴 風 冰 雨 日
  忽 我 出 進 縱 盈 飄 辟 静 曜
  若 公 西 奇 横 金 我 炎 飛 青
  神 子 秦 樂 陳 觴 身 景 塵 春




白日曜青春 白日は青春に曜(かがや)き
時雨静飛塵 時雨は飛ぶ塵を静む
寒冰辟炎景 寒き冰は炎景を辟(め)し
涼風飄我身 涼風は我が身を飄わす
清醴盈金觴 清醴 金觴に盈ち
肴饌縱横陳 肴饌 縱横に陳ぶ
齊人進奇樂 斉人 奇楽を進め
歌者出西秦 歌は西秦に出づ
翩翩我公子 翩翩たる我が公子
機巧忽若神 機巧 忽として神の若し
春の空に太陽は輝き
一陣の雨は舞う塵を掃(はら)っていった
暑さはさっと消え去り
涼やかな風が私の体をなでていく
芳醇な酒で金の盃は満たされ
とりそろえたご馳走が縦横に並ぶ
斉の踊り子はあでやかな舞を披露し
優れた歌い手が西秦からやって来た
風流なり 我らが公子
巧みに応じる様は神のようである
【『太子の坐に侍る』】タイトルの「太子」は曹丕のこと。建安22年(217年)、曹丕が正式に魏の太子となって以降の作とされる。しかし、作品の中では「公子」としか言っておらず、217年以前の作品の可能性もある。『公讌』と同じく曹丕主催の宴に参加したときの作。 

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