何 人 託 廻 白 風 佇 徘 路 褰 懷 上 列 曲 冀 日 懼 欲 夢 身 日 飈 立 徊 險 袵 春 有 樹 池 寫 暮 不 天 通 入 忽 揚 望 不 不 欲 向 特 敷 揚 憂 遊 合 不 精 空 已 塵 爾 能 得 從 我 栖 丹 素 思 西 并 違 誠 房 冥 起 形 去 征 之 鳴 鳥 榮 波 情 園 |
日暮遊西園 日暮に西園で遊び 冀寫憂思情 冀わくは憂思の情を寫かん 曲池揚素波 曲池 素波を揚げ 列樹敷丹榮 列樹 丹栄を敷く 上有特栖鳥 上に特栖の鳥有り 懷春向我鳴 春を懐い 我に向って鳴く 褰袵欲從之 袵を褰げて之に従わんと欲し 路險不得征 路 険しく 征くを得ず 徘徊不能去 徘徊して去ること能わず 佇立望爾形 佇立して爾の形を望む 風飈揚塵起 風 飈塵を揚げて起こり 白日忽已冥 白日 忽ち已に冥し 廻身入空房 身を廻らせて空房に入り 託夢通精誠 夢に託して精誠を通ぜん 人欲天不違 人の欲するところ 天は違わず 何懼不合并 何ぞ合并せざるを懼れん |
日暮れどき 西の園に遊んで わが愛情を慰めようと思う 曲池には白い波が寄せ 並ぶ樹木は紅い花が咲き誇っている 木の上に独りねぐらにとまる鳥があって いまは春 連れ合いを求め 私に向かって鳴いている 喪裾を掲げてこれに近付こうと思っても 道が険しくて辿り着くことが出来ない 立ち去りがたく辺りをさまよい 佇んでその姿を遠くから眺める その時 突然 疾風が起こり 日はたちまち暮れてしまった 私はさびしく家に帰り 誰もいない部屋に入った せめて夢の中でこの願いが届くように訴えよう 人の望みは天が叶えて下さるというから いまは君と一緒にいられないことを嘆くまい |
【『雑詩』】戦乱で離れ離れになった友の身の上を案じる詩。曹植の『王粲に贈る』は、この詩からの引用が見られる。